私たちのお口の中の「唾液」。ほとんどの人にとって普段は意識しない、関心がないものでしょう。ですが唾液は、お口の健康を守るため日夜闘う働き者。おまけに全身の健康にも大きく影響しているのです。
今回は私たちの体を守る知られざるヒーロー、唾液の働きについてです!
早速ですが「唾液クイズ」!
唾液のこと、皆さんはどれくらい知っていますか?
Q1:唾液は何から作られる?
①水 ②血液 ③涙 ④尿
Q2:唾液は1日にどれくらい作られる?
①50ml ②100ml ③500ml ④1000ml
Q3:次のうち、唾液の働きでないものは?
①お口を清潔に保つ ②歯を補修する ③肥満を予防する ④感染症を予防する
Q4:唾液の量を増やすにはどうする?
①水分をとる ②たくさん運動する ③よく寝る ④納豆を食べる
Q5:次のうち、唾液の質と関連のある臓器は?
①心臓 ②肝臓 ③腸 ④肺
→答え合わせをしてみましょう★
Q1:答え ②血液
唾液は透明な液体なので、水分が姿を変えたものだと思っているかたもいるかもしれませんが唾液はもともと「血液」です。水分を摂取すると、胸骨や肋骨などにある骨髄で血液が作られ、その血液が唾液腺にて唾液へと作り変えられます。水を飲んでそれがすぐに唾液になるわけではなく、1回血液になってから唾液になります。
Q2:答え ④1000ml
健康な成人の場合、唾液は1日に約1000ml~1500ml、じつに500ml入りのペットボトル2~3本分作られます。1日のうちでも唾液の出る量は変化していて、特に就寝時に低下します。ちなみに、唾液の分泌料は加齢とともに低下していく傾向があります。
Q3:答え ③肥満を予防する
- お口を清潔に保つ→唾液には、食べかすや細菌を洗い流してお口を清潔に保つ自浄作用があります。唾液が減り、口の中が汚れやすくなると細菌が繁殖しやすくなります。すると細菌の塊であるプラークが増えていき、虫歯や歯周病といったお口の病気になりやすくなってしまいます。
- 歯を補修する→唾液中には溶け出した歯の成分(リン酸やカルシウム)は、時間をかけて唾液から歯に戻り、歯が補修されていきます(再石灰化)。また唾液中の糖タンパクは、歯の表面を保護する膜を貼ります。
- 感染を予防する→お口の中にはおびただしい量の細菌が存在し、「口は感染の入り口」ともいえます。唾液の自浄作用とIgA、リゾチーム、ラクトフェリンなどによる抗菌作用で、虫歯菌や歯周病菌などの細菌の活動が抑制されます。
したがって残った③肥満を予防する働きはないです。しかし、その他にも
- お口の粘膜を守る・お口の中を中性に戻す・味を感じさせる・消化を助ける・食べ物をまとめるなどとった働きもします。
Q4:答え ①水分をとる
唾液は血液に由来すると説明しましたが、血液のおおもとは水分です。唾液を増やすには何をおいても水分をとりましょう。またよく噛んで食べることも大切です。咀嚼をするほど唾液腺が刺激され、唾液が出てきます。食材を大きく切ったり、噛みごたえのある食品を選ぶなど咀嚼回数を増やす食べ方の工夫も効果的です。
Q5:答え ③腸
それは意外にも腸の免疫力を向上させることなのです。腸管の免疫力が高まれば、唾液腺の免疫力も高まる(=唾液に含まれるIgAの量も増える)のです。唾液中のIgAが増えると、細菌やウイルスへの抵抗性がアップし、風邪やインフルエンザ、肺炎などの感染症にかかりづらくなります。
唾液についてはまだまだ未知の領域も多く、ここで紹介した以外にもお口や体にいい成分が含まれている可能性が大いにあります。ぜひ皆さんのお口と体の健康維持にお役立てください。