女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌が増加するために歯周病菌が約5倍に増えると
言われています。そのため、歯肉の血管の透過性が亢進され、歯肉の腫脹を惹き起こします。
さらに口腔内にとどまらず、歯周病菌や細菌産生の炎症物質が血液を介して子宮を収縮させ、
早産を招くことが明らかになっています。歯周病に罹患した妊婦は、そうでない妊婦に比べて、早産や
低体重児のリスクが約7倍にも高くなることがわかっています。自分だけのことではなく、子供にも影響が
あると知ることが、妊婦さんの行動を変えます。実際、歯科医療従事者であれば、毎日、歯周病に罹患
している口腔と向き合います。もっと早く出会っていれば、良い治療が出来たのにと、思う経験は誰もが
おもちでしょう。妊婦さんのほとんどは初期から中等度の歯周病です。歯肉からの出血は気になるものの、
痛みを伴わず、生活には困らない状態ですので、今から治療し予防していけば未来は明るいのです。
赤ちゃんの虫歯予防を母子感染予防から始めるのと同様に、お母さんの歯周病予防を妊娠中から
始めることの利点は大きいのです。